相続登記

何かとトラブルになり易い!相続登記の注意点

亡くなった方(被相続人)が土地・家などの不動産をお持ちの場合、不動産を引き継ぐ方(相続人)の名義に書き換える必要があります。この相続手続きを相続登記と呼びます。
相続登記には期限はありませんが、早めに行わないと後々トラブルになってしまう可能性があります。

こんなトラブルが発生しています!

  • 相続人(引き継ぐ方)の1人が亡くなってしまうと、その不動産の権利は子供・孫に引き継がれてしまいます。 不動産を相続する権利をたくさんの人が持っていると、話し合いが困難になっていき名義変更ができなくなるケースがあります。
  • 金銭状態が悪くなるほど状況によって相続人の気が変わることがあります。時間が経てば経つほど話し合いをすることも難しくなってきますので、話がまとまるうちに相続登記をしてしまうのが良いです。
  • 相続登記に必要な書類の期限が切れてしまい、手続きが難しくなっていくケースがあります。
※固定資産税は相続人に対して請求されます。名義変更しないからといって支払わなくて良いと言う事はなく、相続登記を先延ばしにすることのメリットは基本的にありません。

相続した不動産の売却時の税金を安くするには?
計算方法や軽減税率を知っておこう

大きな金額が動く不動産売却だからこそ慎重に…

終活の一環として持ち家を売る人も少なくありません。相続予定の実家や相続した不動産を売却するケースもよく見られます。
ただ、不動産を売却するには様々な税金がかかります。税金の計算方法や税金をなるべく安くするために知っておきたいポイント!

1.不動産売却にかかる税金は4つ

不動産を売却すると、次の様な税金がかかります。

  1. 譲渡所得税(復興特別所得税を含む)…不動産の譲渡益に対して課税
  2. 住民税…不動産の譲渡益に対して課税
  3. 印紙税…不動産売買契約書に印紙で貼付
  4. 登録免許税…所有権の移転に伴う変更登録時に課税

は売却益が出た時にかかる税金ですが、は損したか得したかに関係なく必ずかかる税金です。登録免許税は住宅ローンを組むときに、金融機関によって設定された抵当権を抹消するために売主側が支払う税金で、土地・建物それぞれ1筆につき1,000円づつかかります。これらのほか、不動産会社や司法書士に支払う手数料や測量費、建物の取り壊し費用といった税金以外の支出も発生します。

自宅を売っても不動産そのものには消費税はかかりません。売手である個人が事業として不動産売買を行なっているわけではないからです。ただし、不動産会社に支払う仲介手数料や司法書士に支払う手数料には消費税がかかります。余談ですが、同じ不動産でも自宅用ではなく投資用であれば、建物の売却に消費税がかかります。

2.印紙税は令和6年3月末まで軽減税率が使える

印紙税は不動産売却時にかかる税金の一つです。売買契約書に記載された契約金額に応じた印紙を購入し、契約書に貼り付けます。なお、令和6年3月31日まで不動産売買に関する印紙税は軽減税率が適用されます。現在、3,000万円で不動産を売却したとすると、本来2万円の印紙を買って貼らなくてはならないところ、1万円で済むわけです。

印紙税の軽減措置

契約金額 本則税率 軽減税率
10万円を超え50万円以下のもの 400円 200円
50万円を超え100万円以下のもの 1千円 500円
100万円を超え500万円以下のもの 2千円 1千円
500万円を超え1千万円以下のもの 1万円 5千円
1千万円を超え5千万円以下のもの 2万円 1万円
5千万円を超え1億円以下のもの 6万円 3万円
1億円を超え5億円以下のもの 10万円 6万円
5億円を超え10億円以下のもの 20万円 16万円
10億円を超え50億円以下のもの 40万円 32万円
50億円を超えるもの 60万円 48万円

※国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」より

3.不動産の売却益に対する所得税と住民税の計算方法

不動産の売却時にかかる税金の中でも、もっとも金額が大きくなりやすいのが譲渡益に対する所得税と住民税です。ここで計算の仕方を見ていきましょう。

譲渡所得にかかる税金の計算方法

土地や建物を売却した時の所得税・住民税は、他の所得と分離した上でそれぞれの税率に乗じて計算します。具体的な計算式は次のようになります。

税額(所得税・住民税)=課税譲渡所得×税率(所得税・住民税)

後述しますが、この税率は不動産の保有期間や用途によって変わります。

課税譲渡所得の計算方法

課税譲渡所得とは、税率を直接乗じる譲渡所得をいいます。譲渡所得とは平たく言うと「財産を売却した時の利益」です。具体的には次のように計算します。

イ 譲渡所得=譲渡収入金額ー(取得費+譲渡費用)
ロ 課税譲渡所得=譲渡所得ー特別控除額

イの譲渡収入金額は不動産を売ったことによる収入額です。不動産の売却代金の他、固定資産税の精算金の収入も含みます。取得費は売却した不動産の売価原価を言います。通常は「不動産の購入金額+取得に要した費用ー減価償却費(建物の場合)」になりますが、先祖代々の土地建物のように古すぎていくらで取得したのかが分からない不動産については「譲渡収入金額×5%」で計算します。譲渡費用は不動産を売却するのに必要となった費用です。不動産の売却手数料や建物の取り壊し費用、印紙代や測量費がこれに当たります。

ロの特別控除は自宅などを売却した時や国や地方自治体に不動産を売却した時に認められる特別控除です。ここをきちんと活用できると節税につながりますが、詳細は後述します。

4.譲渡益にかかる税金は保有期間によって税率が変わる

譲渡益に対する税金は、売却する不動産の保有期間によって、次のように税率が変わります。

  • 売却した年の1月1日時点で保有期間が5年以下…39.63%(所得税30.83%、住民税9%)
  • 売却した年の1月1日時点で保有期間が5年以超…20.315%(所得税15.315%、住民税5%)

後述しますが、売却する建物が売却する人の自宅だと、課税譲渡所得が6,000万円以下の部分についてはより低い税率を適用する事ができます。

売却する不動産が建物なら、売却益の計算上、建物の取得費には減価償却を加味しなくてはなりません。減価償却とは「建物などの固定資産が時間の経過や使用により劣化した部分を数値化したもの」をいいます。つまり、建物の購入額が分かっても、そのまま取得費になるわけではありません。「建物の購入費ー減価償却費」、つまり「使い古した後の現在価値」が取得費になるわけです。

持ち家(非業務用資産)の場合、減価償却費は「建物の取得価額×0.9×償却率×経過年数」で計算します。償却費は持ち家の材質によって異なります。詳しくは、こちらの国税庁のウェブサイトでご確認ください。

【参考】建物の取得費の計算(国税庁)

5.保有する物件が自宅だと節税が可能に

自宅を売って利益が出た時は、次の措置を用いれば節税ができます。

【3,000万円の特別控除】

自宅を売却した時の譲渡所得額から特別控除として3,000万円を差し引く事ができます。
この特別控除は5年超自宅を保有しているかどうかに関係なく適用できます。

【軽減税率の特例】

売却した自宅の保有期間が10年超だと、上記の3000万円の特別控除を適用した後に乗じる税まで節税することができます。具体的には以下の税率を用います。

  • 課税譲渡所得が6,000万円以下の部分…14.21%(所得税10.21%、住民税4%)
  • 課税譲渡所得が6,000万円以超の部分…20.315%(所得税15.315%、住民税5%)

この他、10年超住んだ自宅を1億円以下で売って新たに持ち家を購入するケースでは、税金の支払いを先送りにする事ができる「買い替え(交換)の特例」も活用する事ができます。

自宅の売却損が出たとき

住宅ローンを組んで購入した自宅を売却して損が出ると、その損出額を給与所得や事業所得など他の所得と相殺(損益通算)したり、翌年以降3年間損出を繰り越して他の所得と相殺(総超控除)したりする事ができます。損益通算や繰越控除をすると全体の所得額が減るので、その分所得税や住民税も下がるのです。ただし、次の条件を両方とも満たしている事が求められます。

  • 売却した自宅の保有期間が売却年の1月1日時点で5年を超えていること
  • 売却した人の合計所得金額が3,000万円以下であること(3,000万円を超えた年に損益通算や繰越控除はできない)

また、売却損全額で相殺できるわけではありません。住宅ローンの残債があるのならば「住宅ローン残高ー自宅の売却額」が相殺できる損失額の上限です。

以上は単に持ち家を売却した時の損失の取扱いです。この他、自宅の買い替えの際にも売却損が出た時も他の所得と相殺したりすることができます。

不動産を売却すると翌年3月15日までに確定申告をしなくてはなりません。ご紹介した節税策も確定申告をして初めて活用できるものなので、うっかり忘れないようにしましょう。また、不動産の売却を検討し始めてから実際に売却が完了するまでには3か月から半年かかるのが一般的です。「手続きがきちんとしできるか不安」「どう計算したらいいか分からない」といった不安があるのなら、司法書士や税理士などの専門家に依頼すると良いでしょう。